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人月の神話

人月の神話【新装版】

人月の神話【新装版】

システムエンジニアであれば、おそらく誰もが知っている書籍です。 学生の頃に一度読んだのですが、ある程度システム開発の経験を積んでから読み返すと、書かれていることに実感が持てました。

要約

  • プログラム開発においては、順序性のある作業、コミュニケーションコストがあるため、人と月は可換ではない。
  • 使いやすいシステムを作るには、少数のシステムアーキテクトによってコンセプトの完全性を担保する必要がある。
  • ソフトウェアは本質的に困難なので銀の弾はないが、市販製品の活用やインクリメンタル開発は有効な戦略である。

感想

人月の使いどころは「仕様書作成やコーディングといったプロジェクトで必ずやる作業の規模の定量化」にあると思います。 実際にコスト・日程を出す時にはこの人月をベースに、チームの規模に応じてコミュニケーションコストや追加のドキュメント作成分を足します。

また「人を増やせば納期が短縮できる」を単純に信じている人は少ないと思いますが、 とはいえ仕事をしていく上では、どうしても守らなければならない納期(市場の機会損失というよりは関係者との調整にかかる時間という意味で)があるときもあります。 このような場合は、順序性が少ない時間のかかる作業(検査や、詳細な設計書がある場合には実装)に絞って人を投入していくしかないと思います。 これでも解決できない場合には、もはや達成不可能と判断して、関係各所への調整を始めるのが賢明でしょう。

コンセプトの完全性については、本書でも書かれるように少数の優秀なアーキテクトの存在が鍵と思います。 ただこのような人材は多くはないので、「若くて、地頭が良くて、意欲がある」この3拍子揃った人材を早く見つけ、多くの経験を積ませて育てていくことが大事だと思います。